そごう西武のあの日Vol.01~運命に翻弄された面接~

私は2002年4月から2009年4月までそごう西武の玩具売り場で働いていた。最初は神戸店の玩具売り場の店員としてアルバイト入社した。そごうの玩具売り場はそごう(セブンアンドアイホールディングス)が運営をしているのではなくて、株式会社仔熊(以下コグマ)という玩具の小売をしてる会社がテナントとして出店している形態だ。お客様から見ればそごうの従業員に見えるが、私はコグマのアルバイトという事になる。2002年と言えばそごうは2000年に経営破綻し、西武百貨店の傘下に入り、民事再生法にて新しく生まれ変わろうと、そごう全体が頑張っていた時期だった。

それまで飲食店の厨房しかアルバイト経験がなかった私は次の新しいアルバイト先をアルバイト雑誌で探し、玩具屋の店員という仕事に魅力を感じ、接客未経験の私はダメもとで応募してみた。

そごう神戸店8階玩具売り場に直接面接に来てくださいとの事だったので、初めて面接に伺った際にびっくりしたのはナルミヤインターナショナルのエンジェルブルーやメゾピアノなどの売り場の原色ギラギラのいかにも子供の世界観が表現されたレイアウトに「こんな夢のあふれる職場に私に似合うだろうか?」という不安感がもの凄くあった。なぜなら当時は阪神百貨店のアラスカという歴史あるレストランの厨房、EHバンクという神戸にあったカフェレストランの厨房を経験しており、表舞台よりも裏方の仕事が殆どだったので、私の肌に合わない感じすらあった。

面接は当時のコグマ神戸店の店長だったハセヤンさんにしてもらった。ハセヤンさんは右手を骨折してギブスをはめており、私の持ってきた履歴書の封筒を開けることができず、私に「開けて」というやりとりを見て、私は玩具売り場の仕事で骨折するのか?と思ってしまった。

無事に面接が終わり、結果は数日中にするという事だったので、しばらく待っていたら、携帯がなり、「今回は不採用という事で」と言われ、がっかりした気分と「あんな夢があふれる空間で働くのはやっぱり合わなかったんだろう」と自分に納得させた。
しかし不採用の電話から数日経ったある日、またコグマのハセヤンさんから電話があり、「先日不採用という事を伝えたんだけど、採用するはずだった人に断られたんで良かったら来ない?」ということだった。
私は「なんて失礼な!」って思い、断ろうと思ったけど、飲食以外の仕事と玩具という魅力に断ることができず、即刻OKを出した。
人生とは不思議なもので、もともと採用されるはずだった人が断った事で採用が決まり、この後、10年間もコグマにお世話になることになろうとは思いもしなかった。


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