そごう西武のあの日Vol.04〜初めてのクレーム〜

電池で動く犬のおもちゃを動かすことができず、ヤンキーチック親子をブチギレさせ「ちょっと!早くしてよ!いつまで待たせんの?責任者呼んで!」と言われた私は急いで我関せずのハセヤン店長を呼びに行き、すぐにお客様の前に来てもらった。
するとヤンキーなお客様は「あんた責任者なら遠くで見てんとさっさときいや」「どれだけ待たすの?」と怒鳴っていた。ハセヤンは「申し訳ございません」と必死に謝っていた。そして犬のおもちゃを無事に動かして、納得したお客様は「お廻(まわ)しで」と一言。
私の頭の中は「???」だった。オマワシ?って何?
みなさんは外商ってご存知でしょうか?百貨店には必ずあるシステムで、年間で数百万円の購入実績のあるお客様は外商員という百貨店の担当者が専属について、百貨店の店頭にある欲しい商品を家まで届けてくれるというありがたいシステムなのです。もちろん人気商品も同様に届けてくれます。
なので、このヤンキーチック親子はそごう神戸店の上お得意様という事である。
ここで余談だが、店頭になかなか並ばないロレックスの人気モデルやエルメスのバーキンはこの外商が優先されるから店頭に並ばない事が多いと個人的には思っています。考えてみてください。年間1,000万円も購入してくれるお客様と通りすがりのお客様だとそりゃ1,000万円購入してくれるお客様を優先するでしょう。

無事にお廻し対応が終わったハセヤンはフ―!と深呼吸をついていた。ヤンキーチック親子も玩具売り場からどこかへ消えていった。
私は玩具売り場のど真ん中で他のお客様が見てる前でババちびるほど怒られた事にショックだった。一緒に対応したクメッチもショックを受けていた。
お客様の要望に応えようと犬のおもちゃを動かそうと必死になっていただけなのに、こんなに怒られるなんて理不尽にもほどがあるし、あんな短気な人間がいるもんだと心底驚いた。

しかし、ここでこの話は終わらない!
しばらくすると8階の子どもフロアの山P部長(8階で一番偉い人)がお呼びだと、そごうの事務社員が私とハセヤンを事務所に通したのだ。
事務所に入るなり山P部長は私とハセヤンに言い放った。
山P部長「お前らどう言う事やねん!」「さっきの客、半期で1,000万円も買ってくれる客やんけ!」「この客、逃したらどないしてくれんねん!」
凄い形相だったし、山P部長は柔道の有段者という事もあり、迫力が凄かった。もう脅しだった。
事務所でもババちびるほど怒られ、売り場に戻った私は更に落ち込んだ。

数日後にそごう神戸店より、イエローカードを渡された。このイエローカードが3枚溜まると自動的にそごう神戸店では働けなくなるルールだが、今でもそごう西武でこのルールがあるかは知らない。
イエローカードをもらった理由はお客の買い物をスムーズに対応できずクレームになった。という事だ。犬のおもちゃを動かすのに手間取っただけで、2回もババがちびるほど怒鳴られて挙句、そごうからイエローカードを貰うという、この仕打ちは一体なんなんだ?私、そんなに悪い事したか?

百貨店の厳しさ、社会の厳しさ、世の中の厳しさを知ったできごとだった。

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