そごう西武のあの日Vol.05~プレゼント包装は極めろ~

玩具売り場の店員として最初の壁はやっぱりプレゼント包装だと思う。誰もが苦労すると思う。
私はプレゼント包装が一番大切な仕事といっても良いと思う。なぜなら私が子どもの頃にワクワクして包装紙をめくった思い出があるからだ。私が綺麗にプレゼント包装をしたこのおもちゃが子どもの手に渡って子どもが笑顔になると想像すると、丁寧に気持ちを込めてしなければいけないと心から思っていた。包装紙は子どもの手によってくちゃくちゃに捨てられるかもしれないし、しばらく包装紙もおもちゃと一緒に包みなおして保管する事もあるだろう。そう思うと夢がある。
このプレゼント包装はめちゃくちゃ難しくて、マスターするのにかなりの練習とお客様の前で緊張せずに包装ができるように場数を踏まないといけない。しかしマスターすると、子ども達に喜んで貰えるし、感動して貰える。プレゼント包装はおもちゃ屋の店員の醍醐味、見せ場と言っても良い。

よくYoutubeの動画で551の豚まんや御座候の太鼓饅頭のラッピングのスピードが凄い!っていう動画があるけど、あれは箱の形が決まってるから慣れたら、あれだけのスピードで包めるのは当たり前だ。

おもちゃの場合はそうはいかない。おもちゃの箱は同じ形や大きさのパッケージはほぼなく、六角柱や三角形のような形やトミカ1台の大きさの箱もあれば、三輪車のようなデカい箱もあるので、それに対応できるように考えて練習しなければならない。
よく新商品が出た時に、「この箱はラッピングしやすいなぁ」とか「これラッピングむず!」とか思ったものだ。(正方形は難しかったりする)

あと、プレゼント包装してる前でお客様がじっと見てくる時がある。これはかなり緊張するので、練習ではうまく行ったのに、緊張で手元が震えてうまくできない事が多いので注意が必要だ。

初心者はB4サイズの包装紙で包める小さな長方形の箱で練習をするのだが、やはり最初はめちゃくちゃ難しい。長方形は一番ラッピングしやすいのだけど、それでも難しい。

新人は来る日も来る日もプレゼント包装の練習あるのみの日々を過ごすことになるが、マスターすれば本当に感動して貰えて、お客様から「ありがとう!」って直接言って貰えるので、やりがいがあった。

プレゼント包装で忘れられない思い出がある。クリスマスの数日前の事だったんだけど、閉店時間ギリギリのの19:30頃に1人の男性が急いだ様子で熊のぬいぐるみを持ってきて、「これをプレゼント用にしてください」とお会計にやってきた。すると、男性が「熊のぬいぐるみの首にこれをつけてください」と買ってきたばかりの4℃のネックレスを取り出した。
私は「そごう館内でご購入いただいた物でしょうか?」と質問すると男性は「はい」と一言。
なぜ、この質問をしたかと言うとどこの百貨店でも同じだと思うけど、返品の不正を防止するために他店で購入した商品は一緒にラッピングができないルールがあるからだ。

私はなんだか恥ずかしくなって照れながらラッピングし、お会計を済ませてお客様にお渡しした時はなんだか私も幸せな嬉しい気持ちになり、お相手の方に喜んでもらえたらいいなぁと思った。一つの商品を通してお相手の方とコミニュケーションが取れたような宇宙的な感覚を味わう事ができる。素晴らしい体験だ。一緒に遅番をしていたクビピョンも横で顔を赤くして照れていたのが印象的だった。

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